開幕3連勝スタートを飾ったチームでただ一人、3連投した男は涼しい顔で言った。「まだ、144試合ペースだね」。連投をいとわない鉄腕クローザー・
サファテは交流戦終了時点でチーム最多31試合に登板し、3勝0敗3ホールドで19セーブ。防御率は0.55。ただ、数をこなすだけではない存在感を見せている。
「監督から『行くか?』と問われたら、必ず、行くと答える。毎試合でも投げるつもり」
広島、
西武の3年間で162試合に登板した。連投は「自分の仕事」と言い切り、西武時代の昨季終盤には4連投の後、中2日で6戦連続登板したこともあった。五十嵐、岡島、森福といった抑えもこなせるセットアッパーのそろう
ソフトバンクでは、開幕カードこそ3連投したが、その後、2日連投さえ4回。「試合数は投げているけど、それほど酷使はしていない」と
加藤伸一投手コーチが語るような環境が、より力を発揮させている。
昨季の抑え・
ファルケンボーグ(現
楽天)は右ヒジに手術歴があり、疲労のたまりやすい体質も考慮されて連投は制限された。その影響もあり、昨季は1点差試合で17勝26敗と借金を9も作り、5年ぶりのBクラスへ転落した。ただ、サファテの加わった今季の1点差ゲームは交流戦終了まで11勝8敗と貯金が逆に3つもできている。
66試合で31登板は年間に換算すれば68試合ペースだ。1試合15球以内で締めくくったのは31試合の半数近い14試合あった。「球数を少なくすれば投げるのには、まったく問題ないよ」とサファテ。試合数と疲労は必ずしも、イ
コールではない。それこそが、鉄腕と呼ばれる男の極意と言えそうだ。