週刊ベースボールONLINE

オーロラビジョン

豊田拓矢投手・力強い真っすぐを取り戻し、再び一軍マウンドを目指す

 



 交流戦終了時点で27試合と、チーム一の登板数を誇っているのが豊田拓矢だ。キャンプ時から「新人とは思っていない」と伊原監督は社会人から入団した27歳ルーキーに多大な期待を寄せ、勝敗状況、イニングなどを限定せず、必要に応じて重用してきた。豊田自身、自らを「何でも屋」と位置づけ、求められるまま懸命に応えてきた。最も印象深かったと言うのが、4月27日のソフトバンク戦(ヤフオクドーム)だ。先発のレイノルズが初回KOで、3番手として3回に登板。「まだ肩を作っていない状態で、キャッチボールだけで行った」という結果、2回3失点を喫した。

 常に、いつでも行ける準備をして待機する過酷な役割でも、「出られれば何でもいい」とマウンドへ上がり続けたが、5月半ばを過ぎたころには、自身が思っていた以上に体には疲労がたまっていた。

「正直、いつ落とされてもおかしくなかった」と振り返る状態の中、必死に投げ続けたが、6月19日、初の登録抹消となった。

 一軍を離れ、初めて冷静にここまでを振り返る。「こんなに毎日気持ちを入れて投げたことがなくて、キツかった。それでも、常に懸命に、投球フォームも分からないまま投げて、打たれていた」。

 プロに入って、まだ納得のいくストレートを投げられていない。潮崎二軍監督からも「一生懸命投げすぎて、ピッチングになっていない。ただ投げているだけ」と指摘された。「二軍に落ちてよかったと思います。もう一度しっかりフォームを作り直して、まずは真っすぐを取り戻したい」。プロの厳しさを知った背番号19は、真の“鉄腕”を目指し、ファームで貴重な時間を過ごしている。
オーロラビジョン

オーロラビジョン

週刊ベースボール各球団担当による、選手にまつわる読み物。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング