昨季の日本シリーズで苦しめられ、今季初対戦となった5月28日も完封を許していた。
巨人にとって
楽天の則本は難敵だった。6月15日、コボスタ宮城で2度目の対戦を迎える。右腕を崩したのは
坂本勇人だった。
8回までわずか1安打に抑えられ、4回以降は完璧に抑えられていた。8回に昨季までのチームメートだったボウカーに先制のソロを許し、敗色濃厚で9回の攻撃となった。ただ、原監督が「全員の意地というか、結果としていいものが出た」と言うように、土壇場で粘りを見せる。先頭の長野が右前打で出塁し、代打で高橋由。「小細工は考えなかった」と指揮官の強気の強攻策に、「何でも行かないと、と思っていた」と言うベテランが右前打で応える。一、三塁と好機を広げ、坂本が打席に入った。
代走・鈴木尚の二盗で二、三塁とし、坂本がファウルで粘って8球目。149キロを中前に弾き返した。追い込まれてから指一本分ほどバットを短く握り、外角の難しいボールに食らい付いた。2者を迎え入れる逆転打に、坂本はまず「長野さん、由伸さんがいい場面を作ってくれた」と先輩に感謝した。ワンチャンスをモノにし、則本に黒星をつけたことには「真っすぐもスライダーもコントロールがいいし、力もある。いいピッチャー。そういう投手からああいう場面で打てたことは良かった」とさわやかに笑った。
開幕から安定した打撃を続け、この楽天戦のように勝負どころで殊勲打も目立つ。7月1日の
広島戦では2010年以来の1試合2本塁打もマーク。「いい感じでタイミングが取れている」と言う坂本が打線を引っ張っている。