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中田翔内野手・守って、走れれば整う反撃態勢

 



 命運を握る一振りに懸ける。中田翔が一抹の不安を残し、前半戦を終えた。今季序盤から下半身のコンディションが整わなかった。7月6日ロッテ戦(QVCマリン)では追い打ちをかけるようなアクシデントにも見舞われた。タイミングが合わずに構えを解き、一瞬のスキができたときに不運にも左ヒザ付近への死球。少し油断していたこともあったが、避け切れなかった。

 想定した以上のダメージを受けた。痛み、内出血と格闘しながら、その後の6試合に「大丈夫」と直訴して強行出場を続けたが、ストップがかかった。15日からの西武2連戦(旭川)で先発出場を回避。ともに代打での出場にとどまった。栗山監督は「ちょっと考えないといけない」と症状が深刻化することを懸念。早めに手を打つ形になったが、後半戦の展望が不透明になった。

 中田の動向は、周囲へ大きな影響を及ぼす。負担を考慮してDHで出場する場合、攻撃力の低下は必至だ。二刀流の大谷が野手で出場するとき、あるいは後半戦からカムバックするアブレイユを有効活用するためのDHを、失うことになる。陽岱鋼以外の外野手に主力級の活躍を期待するのは酷だ。中田が左翼を守ることができなければ、チーム力はダウンする。

 前半戦でリーグトップの56打点、本塁打もパの日本人では最多の15本。中田の存在価値は極めて高いが、守備と走塁が万全であれば、さらに大きなプラスになる。

「まだ優勝を狙える位置にいる。何とかしたいね」。そう意気込む若き主砲が、後半戦の残り61試合でどのポジションに収まり、不動の四番を務めるのか。その活躍が逆転Vの可能性を左右する。
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