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多村仁志外野手・チームに尽くすベテラン

 



 確かな力と経験から放たれる一打が、実に効果的だ。「ホームランは狙ってません。チャンスで打席に立たせてもらうことが多いから、何とかして得点につながる形を考えてますね」。持ち味の長打に目をつむり、モデルチェンジしても変わらない存在感。多村仁志の言葉には裏付けと重みがある。

 今季61試合のうち、先発出場は28試合。打率.266、2本塁打、18打点と限られた出場機会で調整に苦労しながら、得点圏打率は.364に跳ね上がる。勝利打点(4)もチーム3位タイ(いずれも8月7日現在)。6対2で快勝した6日の巨人戦(横浜)では、貫禄の働きをみせた。

 0対0の2回一死一塁で、杉内から先制の2号2ラン。3球で追い込まれながらフルカウントにすると、7球目のスライダーを左翼席へ運んだ。「強振せず、後ろにつなぐ意識がホームランになりました」。2004年に40本塁打を記録した大砲が「つなぎ」を強調した。2打席目に左前打、3打席目は右前へ運び、3安打2打点の活躍でお立ち台に上がった。

「スタメンで出ることが目標ですけどね……」。梶谷、荒波、筒香、桑原。伸び盛りの若手に負けるつもりはないが、チーム方針にも理解を示している。「自分の成績より、勝つことが大事」。状況次第では進塁打を徹底する姿。中畑監督も

「タムにはいろんな準備をさせてしまっている」とベテランの自己犠牲を見ている。

 1995年に横浜入団。ソフトバンクでの6シーズンを経て、昨年から古巣に復帰した。「若い選手が多いので。強くなるために、憎まれ役になってもいいと思っています」。CS進出へ、37歳の背中は頼もしさを増している。
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