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川島慶三内野手・過酷な競争に身を置き、真価を問う9年目

 



 プロ9年、通算277本目の安打に「1本目」の感慨がこもった。7月31日の楽天戦(コボスタ宮城)、先発左腕の塩見対策で、移籍後初めてスタメンに名を連ねた。3回一死、フォークをとらえ、ライナーで左前へ運ぶ。「1本出てホッとした。ヒットを打つのは本当に大変なこと」。移籍4打席目での初安打だった。

 06年、プロとしてのキャリアは日本ハムで歩み始めた。九州国際大から大学・社会人ドラフト3巡目で入団。1年目途中から出場機会を増やすため外野に挑戦し、外野手登録とした07年は新庄引退後の外野の一角とも期待された。ただ故障もあって伸び悩み、08年1月に3対3のトレードでヤクルトへ移籍。これを機にポジションを内野手登録に戻した。09年にショートとして活躍し、初めて規定打席に到達。だが同年シーズン終盤に右ヒジを痛めてからというもの、故障との闘いが続いた。迎えた今年7月。新垣、山中と2対2の交換トレードでソフトバンクへ。ソフトバンクは夏場に入り、松田、吉村とサードに故障者が続出していた。故郷の長崎・佐世保を出て北海道、東京を経由したキャリアは、再び地元・九州へと戻った。

 初スタメンの楽天戦では守備でもアピールした。4回一死二塁、藤田の三遊間へのライナーを横っ飛びで好捕した。「1球、1打席気を抜かない。それが僕の野球」。そんなモットーを体現。試合は敗れたが、存在を示した。松田、吉村は近く復帰できる見込みだ。もともとサードのバックアップができる明石もいる。「信頼を得るのには時間がかかる。結果を出し続けてレギュラーを狙う」。継続する難しさ、重みも分かっている。ここから自らの真価を問う。
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