代役どころか、レギュラー奪取への大チャンスが目の前に落ちてきた。8月6日の
広島戦(ナゴヤドーム)で、2000安打を目前にした和田がまさかの死球骨折。レギュラーシーズン中の復帰は絶望的となった。
和田とチームには危機的状況でも、
松井佑介にとっては千載一遇の好機到来だ。「家やホテルを出るときには、いつも『オレがスタメンや』って思うようにしているんです。結果がベンチスタートでも、かまわない。それが僕にとっての準備なんです」
外野の一角が空く前から、松井佑はこう考えてきたそうだ。この準備がばっちりはまったのが7月29日の広島戦(マツダ広島)。このときの和田は夏カゼか急きょ体調不良を訴え、松井佑に先発チャンスが巡ってきた。広島が今季初めて延長戦を落としたこの試合、決勝2ランを含む全打点をたたき出したのが松井佑だった。
さらに和田が頭部死球で負傷退場した7月21日の
DeNA戦(横浜)では、途中出場し8回に起死回生の同点弾。その3連戦で、計13打数5安打3打点と代役以上の数字を残した。「いつも言っているんですけど、ウチには代役なんていないんです」
誰かが誰かの不在をサポートしたとき、谷繁兼任監督は必ずこう口にする。「チーム全体で戦っているんだ」という指揮官なりの意思表示だ。
もちろん松井佑にしてもそう。和田の代役という意識はない。常々、こうも言っている。「和田さんが衰えてからでは遅いんです。和田さんがまだ元気なときにポジションを奪いたい。追い抜きたいんです」。狙うは主役というわけだ。