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後藤光尊内野手・若手の良きお手本となったベテラン

 



 不本意なシーズンだった。昨年、鉄平とのトレードでオリックスから移籍してきた後藤光尊。新天地で迎える2014年シーズンは54試合に出場し138打数28安打、1本塁打、11打点。打率.203(10月2日現在)。今季も残りわずか。CS進出の可能性も完全消滅し、若手育成にシフトチェンジしている状況で後藤のシーズンは事実上終了した。

 オリックスでは2011年に130試合に出場し、打率.312を記録。パンチ力と堅実な守備力を武器に不動の二塁手、三番打者としての地位を確立したが、13年に出場機会が激減。36歳のシーズンとなる今季、自身の出身地・秋田をお膝元とする楽天にやってきた。「監督が必要としてくれるところならどこでもやる」

 入団会見で語った言葉。そのコメントどおり、キャンプでは内外野の練習に積極的に取り組み、シーズンでは三塁手、左翼手、遊撃手も務めた。

 そんな姿を首脳陣も評価。星野監督から「アイツは練習でもまったく手を抜かない。オレらがブレーキをかけてやらないといけない」と言われるほど、とことんまで自分を追い込む。

 打撃が上向かない状況で守備固めとして使われることがあっても、黙々とその仕事をこなすベテランの姿があった。

 今シーズンここまで2度の二軍降格を経験した。だが、二軍でも変わらなかった。誰よりも早く来て、誰よりもバットを振る。若手選手はその練習量の多さに驚いたという。ベテランのその姿が若手に与えた影響は大きい。来シーズン、本当の意味で完全復活し、攻守ともに存在感あふれるプレーを期待したい。
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