週刊ベースボールONLINE

オーロラビジョン

クロッタ投手・第3の男から下克上で勝利の方程式へ

 



 古きを破壊し、新しい勝利の方程式を創造した。今季から加入したマイケル・クロッタの存在なくして、2年ぶりのAクラス進出は厳しかっただろう。新天地で1年目から61試合に登板。中継ぎの一員から始まってセットアッパーに、緊急事態ではクローザーも務めた。「チームが勝つために、自分ができることを必死にやったまで」と涼しいが、今季のチームを支えたヒーローの1人だ。

 開幕直後から絶対的な守護神に君臨してきた武田久が不振、インフルエンザでの体調不良もあり第一線から離れた。左の中継ぎの宮西、セットアッパーの増井と強者の救援陣がそろう中で、勝ちパターンの1ピースが不足するチーム事情に陥った。白羽の矢が立ったのがクロッタ。「意気に感じてやるだけだった」と覚悟を決め、試合の難局を託された。

 当初はセットアッパーで、抑えに配置転換した増井と入れ替わる形で、勝利の方程式に加わった。1 5 0キロ台後半の直球に「ハード・シンカー」と呼ばれる140キロ台後半の独特のクセ球で、驚異的な結果を残した。前半戦終了時点で防御率1.06。監督推薦でオールスターにも選ばれた。増井が不調の際にはクローザーも任されて結果を出し続けた。継投策を重要視する栗山監督のリクエストにも応え続けた1年間だった。

 球団側は保有するオプションの権利を行使して、来季も残留する方向で最終調整中だ。昨オフの時点でメンドーサ、途中加入したカーターの新外国人投手3人の中では評価が低く「第3の男」という位置付けだったが、うれしい誤算をもたらした。来季も要職を託される接戦の番人は、ポストシーズンも全力投球を続けた。
オーロラビジョン

オーロラビジョン

週刊ベースボール各球団担当による、選手にまつわる読み物。

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング