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祖父江大輔投手・“向かっていく”新人投手

 



 この新人がいなければ、中日投手陣は崩壊していたかもしれない。祖父江大輔は54試合に登板し、0勝3敗で11ホールド。防御率3.53と決して派手さはなかったが、ロングリリーフあり、右打者へのショートリリーフありのいわゆる「何でも屋」。首脳陣はその存在に何度も助けられたはずだ。

 春季キャンプの段階から、又吉と並んで「即戦力」と評価されていたが、投手の経験は意外と浅い。高校時代は「投手もやれる野手」。専念したのは愛知大に進学してからだった。トヨタ自動車を経て、その才能は開花。最大の武器は打者への闘争心だろう。普段は笑顔を絶やさない青年だが、マウンド上でテレビ画面に映る表情は、あまりにも眼光が鋭く先輩投手をもたじろがせるほどの迫力だ。

「よく『顔が怖い』って言われるんですが、自分ではよく分からないんですよね。でも自分のようなタイプが打者にのまれていたら抑えられるはずない。向かっていく気持ちは大切だと思っています」

 そんな祖父江もルーキーシーズンは、悔しい形で幕を閉じた。9月23日の巨人戦(ナゴヤドーム)で1イニング目は抑えながら、2イニング目に一挙5失点。降板後、試合中にもかかわらず「強制帰宅」を命じられた。翌日に二軍降格。残り日程を考えれば、もう再昇格は不可能なタイミングでの登録抹消に「少し厳しすぎるのでは?」との声も上がった。

「いや、あれは仕方ないと思っています。あの試合だけではなく、ずっと打たれていたので。結果が出なければ、そういうこともあるのがプロですから」。悔しさは来季へ。セットアッパーと呼ばれる地位への昇格が目標だ。
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