チームがまだ軌道に乗らず、一進一退を続けていた時期だった。8月21日の
ヤクルト戦(神宮)。負ければ2位に転落していた試合で
巨人が攻守に粘り強く戦い、総合力で延長戦を制した。
点を取って取られて、流れがどちらに傾くか分からない試合だった。まずは1点を追う8回に代打ロペスが「チームが求めるもの、期待に応えることができた」と同点ソロを放つ。9回の守備では長野がビッグプレーを見せた。一死一、二塁で前進守備を敷いたが、右中間へ飛球が飛ぶ。背番号7は必死に背走し、腕を伸ばしてギリギリつかみ、サヨナラ負けの危機を防いだ。ただ、直後に踏ん張り、送球しようとした際に右膝を負傷。そのまま途中交代した。
長野の体を張ったプレーに応えたのが
片岡治大だった。「長野の思いもあった」。5対5の延長11回に先頭で「うまく体が反応した」と内角の速球を思い切り振り抜き、左翼席へと運んだ。不振で二軍落ちし、19日に一軍に戻ったばかりだった。二軍では「気持ちが後ろ向きになっていた。野球を楽しむではないけれど、原点に返ってやろうと思った」と気持ちのリフレッシュに努めた。大事な場面で、本来の思い切りの良さが戻っていた。
ロペス、片岡のほかに、長野、村田が一発を放つ。守備では1回に井端がダイビングキャッチを見せるなど、球際の強さを随所に見せた。今季を象徴するようなしぶとい戦いぶりに、原監督は「全員の力を結集するということ」と満足そうに言った。シーズンを通して、傑出した成績を残した選手はいない。ただ、この夜のように粘り強く白星を拾い、リーグ3連覇へとつなげた。