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藤原良平投手・初めて味わった真の意味での悔しさ

 



 キャリア最高の20試合に登板、初勝利、初先発、初ホールドを挙げるなど、プロ7年目に本格的に“一軍投手”としての一歩を踏み出した藤原良平。だが、振り返ると、喜怒哀楽さまざまな思いを味わったことも、また事実だという。

 その中で最も忘れがたいのが、6月1日の中日戦(西武ドーム)。4対2とリードして迎えた6回、先発の野上が先頭打者に二塁打を浴び降板。2番手のウィリアムスも二塁打を打たれ、4対3となったところで藤原がマウンドへ。その回は後続を断つも、続く7回は味方の失策、四球などで二死満塁のピンチを招き、五番の森野に逆転適時打を浴び、敗戦投手となった。

 もちろん、忘れられないほど悔しかったのは自らの黒星ではない。「野上の勝ちを消してしまったことが、本当にショックだった」と、表情を曇らせる。「人の勝ちを消すのは、人の生活を削ってしまうということ。一軍のマウンドには、人の生活もかかっている」

 普段は打たれても帰りの車中で全部忘れ、切り替えてきたが、初めて悔しさを家に持ち帰った。そして、あらためてプロの厳しさと責任の重大さを思い知ったという。

 だが、シーズンが終わった今は、来季以降へつながるプラス材料だと受け止めている。「去年までは二軍が主だったから、真の意味での『悔しい』なんて感情を感じることができなかった。でも、今年は先発や、中継ぎでも、大事な場面で投げさせてもらえたことで、一軍レベルでのいろいろな思いができた。ただ、ピンチになると、すぐに交代されたのは信用がない証拠。来年はコントロールをつけて、その信用をまず勝ち取るところからからやりたい」

 苦い教訓は自信と課題となった。
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