西宮悠介には忘れられない1試合がある。8月6日の
ロッテ戦(QVCマリン)。7対2と5点をリードして迎えた9回に4番手として登板し、3安打1四球と大乱調。一死も奪えずに4失点で降板した。「本当に申し訳ないの一言でした。松ちゃん(
松井裕樹)の勝ち星も消してしまった」。結局、守護神の
ファルケンボーグが打たれてまさかのサヨナラ負け。試合後のナインは一様にぼう然とした表情で引き上げた。
その試合はルーキーの松井裕が5回を2失点と試合をつくり、先発としてのプロ初勝利が目前だった。「それ以外でいっぱい助けてもらっているので、全然大丈夫です」と松井裕は気にせず振り返ったが、西宮本人の中で今季最も忘れられない試合になった。さらに試合後、宿舎で待っていたのは
星野仙一監督(当時)。「ホテルで監督に呼ばれて、1対1ですごく怒られました」。グラウンドを離れれば、おだやかな一面を見せる指揮官だったが、その日は怒りが収まらず、宿舎でも爆発したという。だが当時は失意のどん底だった西宮も「でも、それが自分にとってすごく貴重な時間になった」と、今となっては大事な経験として記憶している。
星野前監督が昨年のドラフト後「西宮というヤツを見てろ。コイツはおもろいぞ」と期待したとおり、いきなり一軍で結果を残した。一時は福山と中継ぎの柱としても奮闘し、46試合に登板して3勝、防御率3.17という成績を残した。ルーキーとして十分に胸を張れる数字だ。
大久保新監督の下、最下位からの巻き返しを目指す2015年シーズン。2年目左腕のさらなる飛躍も期待される。