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三嶋一輝投手・下降線を辿った2年目

 



 球団初のCS進出を目指すDeNAにとって、大事な開幕戦だった。大役を託されたのは2年目の三嶋一輝。どこか不安げに、マウンドに立っているように映った。「情けない。あれだけ調整させてもらったのに」。2回9失点。球団の開幕投手では84年の遠藤一彦(6回1/3で8失点)を下回るワースト記録を更新してしまった。

「緊張すると思うけど、独特な雰囲気を楽しみたい」。初回、先頭の山田に死球をぶつけた。雄平には左前へ運ばれ、無死一、二塁。バレンティンこそ見逃し三振に仕留めたが、ひと息すらつけなかった。ミレッジは先制の左前打。畠山に低めのスライダーをすくわれた。右中間へ3点二塁打。4点を失い、相川にも右前へ落とされた。そして、極めつけが法大の後輩・西浦に浴びた3ランだった。48球を費やし、怒とうの7失点。「先発の柱に成長してほしい」と首脳陣の期待に背く、壮絶なKO劇だった。

 ルーキーイヤーに6勝し、飛躍を誓ったシーズンだった。緩急をつけたいとカーブ習得を目指し、結果的に生命線である直球に影響が出た。150キロを超える球速は140キロ台中盤が目一杯。空振りを奪うシーンは減り、オープン戦は計3試合、14イニングで11失点と不安を残した。「俺があいつ(三嶋)に背負わせ過ぎたのかもしれないな……」。8試合で1勝2敗、防御率10.88。中畑清監督は、過度な期待が重圧になったと反省した。

 しかし、光はある。10月3日の巨人戦(東京ドーム)で1軍に再昇格し、5回3失点で初白星をマークした。「僕としては前を向いて、進んでいくしかないので」。屈辱をはねのけ、復権へ。背番号17の戦いはもう、始まっている。
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