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五十嵐亮太投手・求めるのは再びの“日本一”のみ

 



 若いころと違うモチベーションで臨む15年、36歳のシーズン。今の最優先事項はポジションではなく、日本一。最高の歓喜に浸るため、ひたすらチームの勝利に貢献する。「与えられたところで全力を尽くす。いつでも力を出せる状態をつくっていく」。ベテラン――そう呼ばれる歳になって、自然とそうした境地に至った。

 移籍2年目の14年はチーム2位の63試合に登板。60試合登板はヤクルト時代の04年以来だった。積み上げた44ホールドに「自分でもそこそこ納得いく成績だった」と胸を張る。15年までの3年契約。交渉より、球団フロントと話をする意味合いが強い契約更改の席では「すごく褒めてもらった。恥ずかしいくらい」と振り返った。

 欲が失せたわけじゃない。14年の開幕前に「絶対、守護神は俺がやる」と意気込んだ。結果的にクローザーは西武から移籍してきたサファテに譲っても、勝ちパターンの中で「若手には、この立場は渡せない」と言ってきた。15年に向けてそうした思いはひとまず置き、パズルの1ピースに徹する。求められるなら、負け試合でも構わない。個人の目標は「50試合登板」のみに置き、タイトルが懸かるものには「日本一になることが何よりなので」。すべてはチームがあってこそだと悟った。

 フル稼働ゆえ、14年終盤は体調のコントロールに苦しみ、乱調も目立った。今オフのテーマは、あらためての体づくりだと言う。

「30代半ばなのに頑張っている」。周囲からそう言われるのは「うれしいんですけど」と素直に感謝してから、五十嵐は続けた。「僕自身は、まだ自分がそんな歳とは思わないんですよ」。苦笑の奥から、洗練されたプライドがのぞく。
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