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武田久投手・大減俸から一時代を築いた誇りを持って

 



 武田久が復権への強烈な思いを胸に秘めている。2014年の年俸はチームトップの推定2億4000万円プラス出来高払い。同年で2年契約が満了し、契約更改で球団側と合意の上でサインした額が球界の常識を超える減俸幅だった。1億6000万円ダウンの年俸8000万円プラス出来高払い。純粋にサラリーが1/3になった。

 昨季はわずか9試合登板。04年以来、10年ぶりに年間1ケタ登板にとどまった。過去に最優秀中継ぎ1度、最多セーブ3度。プロ通算522試合登板で「小さな鉄腕」の異名も持つ。パ・リーグ屈指のリリーバーとしての地位を築いたが、昨季は立場が一変した。「以前のように抑えられなくなった」とジレンマと闘ったが、状況を打開できず。大きな葛藤を抱えながら今オフを迎え、球団からの驚きの提示を受け入れた。

 野球協約の減額制限(年俸1億円以上は40パーセント未満)を大きく上回るダウン額を冷静に受け入れることができたのには、確固たる理由があった。「野球をやりたいという気持ちがある。もう一度、抑えをできるように勝負したい」。逆風の中で沸き上がったのが、これまで以上の反骨心。14年開幕直後には先発転向プランもあったが固辞した。もう一度、原点で勝負するという境地へたどり着いた。

 プロ入りから12年間、身を捧げ続けたユニフォームへの愛着と、第一線に立ち続けてきた誇りがある。二軍での長い格闘の中で、スタイルの変化や技術面などを模索して、復活できるという確信も芽生えてきた。「今季もやれる。やりたいと思った」。若手の台頭などで置かれた環境は変わるが、折れない心は変わらない。野球人生をかけ大勝負を打つ。
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