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星野大地投手・150キロの速球が魅力のリリーバー

 



 波乱の船出だった。岡山東商高からドラフト4位で入団した11年の1月。星野大地は新人合同自主トレを半ばで切り上げ、群馬県内の病院に向かっていた。右ヒジ内側側副じん帯の再建手術。原因は高校時代の蓄積疲労とみられるものだった。「違和感もなかったので驚いた。落ち込んでも仕方がない。しっかり走って体づくりに集中したい」。失意に暮れる間もなかった急転の出来事から4年。プロ5年目、工藤監督が就任した新生ホークスの初年度に、A組(一軍)で春季キャンプをスタートすることになった。

 頭角を現すのは早かった。チームが秋山監督政権下で初めて日本一となった1年目はリハビリで棒に振ったが、3年目の13年4月に一軍デビュー。その年、7試合に登板した。翌14年は4試合。プロ初白星より先に初黒星を喫したが、競った場面で起用された結果だ。150キロに迫る速球でリリーバーとしての素質を感じさせてきた。

 高2の春に捕手から転向した変わり種。ただでさえ焦りの出る入団当時、リハビリ中に「焦るなよ」と声を掛けてくれたのは、3度の右ヒジ手術を乗り越えた柳瀬だった。背番号「56」の前任者。西戸崎室内練習場でのリハビリ期間、いつも気にかけてくれた。「周りは『どこで投げた』とかどんどん話している。複雑な思いはありました。でも、柳瀬さんのおかげで、前向きにリハビリができた」

 14年から森福のグアム自主トレに同行。2度目の今年は、前回より課題と収穫を把握できた。「自主トレの最後の方に『これが合うかな』というものをつかんだ。見た目は変わらないけど、意識することが増えた」。工藤監督のお眼鏡にかなうときを、虎視眈々と待つ。
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