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松坂大輔投手・フィーバー、再燃

 



 キャンプ地、宮崎・生目の杜に時空を超えて再び「怪物フィーバー」が巻き起こった。9年ぶりに日本球界に復帰した姿を一目見ようと集まるファン。サイン会も開いたが、全員に対応し切れるはずもなく、キャンプ中盤には球団が写真入りのカードを用意した。練習施設間の移動も常に報道陣がスクラム状態。百戦錬磨の右腕もキャンプ初日に「どう動くのか、どこで練習するのかも分からなかった。予想どおり、慣れない中で緊張したし、精神的に疲れました」と苦笑交じりに漏らした。喧噪の中で松坂大輔がプロ17年目を滑り出した。

 昨年12月5日、福岡市内のホテルで開かれた入団会見には、報道陣150人超え、テレビカメラ17台が集結した。11年の右ヒジ手術もあり、米球界では8年で56勝止まり。現実問題として、今となってはメジャーでは得難くなった先発としてのニーズが魅力だった。

 キャンプでの主な作業は「悪いクセ」を取り除くことだった。アメリカの硬いマウンドへの適応や、右ヒジ手術明けの影響で生じた体の開きを主因としたフォームの変化。その矯正だ。工藤監督からは「自分の思うような調整で構わない」と一任された。キャッチボール、ブルペン、遠投、シャドー投球……。球数自体はキャンプを通じて571球と多くなかったが、着実にステップアップした。周囲も狂騒曲を白い目で見るではなく、刺激に変える。フリー打撃に登板して西武時代の仇敵・松中と対戦し、ファンを沸かせもした。「フォームづくりを重点的に、やりたいと思っていたことはできた」。やがて結果が問われる時期がやってくる。いずれにせよ大きなうねりを巻き起こし、怪物は歩き続ける。
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