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佐藤祥万投手・ゼロからの再出発

 



 突然巡ってきたキャンプ一軍スタートで、佐藤祥万が必死にアピールを続けている。昨年、日本ハムを戦力外となり、12球団合同トライアウトを受験。左腕不足解消を狙う広島から声を掛けられた。入団会見を終えるとそのまま日本ハム時代の練習着を着て秋季キャンプに合流。まさしくゼロからのスタートだった。自主トレ期間中は広島の大野練習場に連日姿を現し、黙々と走り、ネットスローを行った。「実績もなく無名な僕を拾ってくれた。一花咲かせたい」。背番号は98。がけっぷちからの再出発だった。

 新戦力とはいえ、当初はキャンプも二軍スタートが予定されていた。しかし、篠田が右足の張りを訴えたため、佐藤にチャンスが巡ってきた。目の前に突然転がってきたチャンスだ。何が何でもつかもうと必死だった。チームにも少しずつとけ込んだ。幸い広島には同学年の菊池、丸、安部、田中、野村など89年世代が多くいた。入団前から「実績は及ばないが同世代が多いので楽しみ」と話していたように、なじむのに長い時間はかからなかった。

 崖っぷちの男は実戦で存在感を発揮している。先発としても期待されていた戸田の不調も重なって、貴重な存在になりつつある。2月22日に行われた練習試合、ロッテ戦では対外試合初登板。6回に新人左腕・飯田が打たれた後の7回に登板すると、二塁打を浴びながらも1回1安打無失点でしのいだ。直球は130キロ台中盤ながら、球の出所が見えにくいフォームで差し込んだ。畝投手コーチも「岩見と佐藤がいい投球を見せてくれている」と高評価を下した。どん底を経験した男は強い。結果を出し続け、新天地で一花咲かせたい。
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