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中日 八木智哉投手・危機感を糧に

 



 中日で誰よりも危機感がにじみ出ている選手といえば間違いなく八木智哉だ。昨年末にオリックスから戦力外通告を受け、トライアウトで中日入り。06年の新人王はハイペース調整で春季キャンプを過ごした。「結果を残さなければクビになるだけ。だから悔いの残らないようなキャンプを過ごしたい」

 ハードトレで有名な中日だが、この男に『やらされている』という感覚はない。とにかくやる。やるしかない。その思いでキャンプ序盤は黙々と投げ込むと、中盤からは実戦仕様に体調を管理。シート打撃、練習試合と結果を残すと2月22日のオープン戦・阪神戦(北谷)の先発を勝ち取った。

 結果は3回を4安打2失点。1、2回こそ無失点も、3回は同僚の失策も重なって2点を失った。「打たれた球が全体的に高かった。(2ストライクに)追い込む球の精度を上げていかないと」。登板後は険しい表情だったが、首脳陣の評価が急落することはなかった。友利投手コーチいわく「もっと余裕が出てくれば面白い存在になる」。あくまで先発候補の一人として考えられている。

 悔いを残さないための準備を整えてきた。昨年12月からは、新人王を獲得した創価大時代から入団1年目のころのフォームに改造。1月の自主トレはわざわざ創価大時代にバッテリーを組んだ後輩を呼びフォームを指摘してもらったほどだ。日本ハム、オリックス、中日と渡り歩いたベテラン左腕は目の色を変えて今年に挑んでいた。「トライアウトは宝の山」と話す落合GMの目に留まった左腕が輝きを取り戻すのか。昨年は先発不足に苦しんだ中日だけに戦力になれば最高の掘り出し物になる。
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