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木佐貫洋投手・3球団を渡り歩き目前の金字塔へ

 



 厳しい争いを勝ち抜ければ、大きな節目が見えてくる。木佐貫洋は今季、世代交代の波と闘いながら復権を目指している。昨季までの12年間に3球団で積み上げてきた三振数は956。「1000」の金字塔まで残り44として、決意の1年を迎えた。「何とか食らいついていかないといけない。アピールする立場ですから」と危機感を胸に臨んでいる。

 秘めた雪辱の思いが、完全復活への推進力になる。昨季はわずか5試合登板。移籍1年目の13年は9勝だった男が、1勝3敗と振るわなかった。先発陣に若い芽が台頭。エース格へと成長した大谷、中村、上沢ら入団5年目以内の新戦力がブレークした昨季、活躍の場を失った。開幕直後のインフルエンザ感染など不運にも見舞われ停滞。ローテーションの谷間を埋める役割を強いられた。

 ペナント奪回を目指すチームにとって、カンフル剤になり得る存在だ。キャンプ中の実戦でも順調な仕上がりを見せ、若手たちを刺激した。栗山監督も「本当に良いのは木佐貫」と称賛するほどの調整を評価。投手陣の争いを刺激する必死な姿、執念を感じさせる投球スタイル。崖っぷちの1年に懸ける生き様が周囲の心を震わせ、底上げの良薬となっている。

 激戦の開幕ローテーション争いでは現実的に、ダークホース的な立場にある。栗山監督が視察した3月10日のイースタン・リーグ楽天戦(鎌ケ谷)に2番手で登板。6回から4イニングを2安打1失点でチャンスを広げた。「競争相手はいっぱいいる。『0』を積み重ねてアピールしないと」と、追う立場として油断はない。1000奪三振を通過点にするような、再起のシーズンにする。
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