飛躍を期す2年目。
松井裕樹は新たなポジションで、開幕の日を迎える。まだ19歳。12球団最年少の守護神として、チームの命運を握ることになった。抑えが決まり「ありがたいし、使命感を感じました」。まだあどけなさの残る表情が引き締まった。
唐突に巡ってきた守護神の座。当初、ストッパーを予定していた
ミコライオが椎間板ヘルニアで離脱。全治3カ月という重傷を負った。「三振が取れるのが大きい」(
大久保博元監督)と、セットアッパーから“昇格”した。3月14日の
ヤクルトとのオープン戦(静岡)ではさっそく2点リードの9回に登板。2人の走者を出したものの、アウトはすべて三振で奪って初セーブ。本領を発揮した。
試行錯誤を続けてきた。昨季、課題として残った制球難の改善のため、オフからフォーム改良に着手。手応えをつかみキャンプに臨んだが、中盤にきて2段モーションを指摘され、微調整を余儀なくされた。調整法にも苦慮した。先発とは違い、登板直後から全開でのパフォーマンスが求められるリリーフ。ブルペンでの気持ちの高め方など、自分に合った形を追求。ようやく自分の形をつかんだ。
転向を受け、3月の侍ジャパンでは、守護神経験のある
西武・
牧田和久や
ロッテ・
西野勇士らから、抑えの心得を伝授された。「コイツで負けたらしょうがない、というピッチャーにならないといけない」。気を引き締めて、勝敗に直結するポジションに挑む。
昨季は開幕一軍を果たしたが4勝8敗。不完全燃焼のルーキーイヤーだった。プロの水にも慣れ、真価が問われるシーズン。新たな役割での開幕に左腕の心は、高ぶっている。