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藤井亮太捕手・切り札となるべき男のスタート地点

 



 異様な雰囲気に息を飲んだ。3月27日の広島との開幕戦(マツダ広島)。プロ2年目で初の開幕一軍を果たした藤井亮太は、広島の赤く染まったスタンドを見て、震えが止まらなかった。

 アマチュア時代はプロ野球の開幕には目もくれず、練習していたという26歳は「ベテランの方が緊張しているのを見て、『これが開幕か』と思いました。3試合とも出られなかったですけど、いい経験ができました」と振り返った。

 オープン戦でのアピールが実ってつかんだ開幕一軍だった。登録ポジションは捕手ながら、オープン戦では打撃力を買われて外野で出場。「一軍クラスの球を見ることができて、いい勉強になりましたし、自信にもなりました」と13試合に出場し、打率.300と結果を残した。真中監督も「肩と足もあるし、打撃も思い切りがある。楽しみな選手」と評価した。

 2年目となった今季に飛躍を遂げた裏には、打撃改造がある。昨年まではほとんど足を上げないノーステップ打法だった。だがパワー不足を感じたことから、右足を振り子のように上げてタイミングを取るフォームに変更を決意。昨秋の松山キャンプから宮出打撃コーチと二人三脚で取り組んできた。最初は目線が安定せずに苦労したが、2月の春季キャンプでもバットを振り込むうちに自分のものにした。「今は打球に体重をしっかり乗せられているし、逆方向にもボールが飛ぶようになりました」と手応えを感じている。

 第3捕手としての役割もあり、打撃練習と並行してブルペンで投手の球も受けるなど、忙しい毎日が続く。「いつ試合に出てもいいようにしっかり準備したい」。ヤクルトの切り札はこの男だ。
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