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オンドルセク投手・柔軟な適応力で築く、勝利の方程式

 



 珍しく眉をつり上げた。4月19日、神宮球場でのDeNA戦。7回途中から救援したオンドルセクが筒香に3ランを浴びた。直前、捕手の西田を呼ぼうとしたところ、球審に制されて激高。捕手がマウンドに行ける回数についてのルールを熟知していなかったためだった。激高したまま浴びた3ランは、実に来日10試合目にして初の失点となった。

「いくつか違うところはあっても野球は野球。しっかり慣れていかないといけない」。登板後には気持ちを切り替えた。首脳陣とも面談しすぐに納得。高津コーチは「本当に真面目で熱心」と評価する。

 203センチ右腕の強みは、長身から投げ降ろす投球の迫力以上に、この柔軟な「適応力」だろう。来日以降、日本のマウンドや試合球に合った投球を研究しカーブ、カットボールも微妙に握りやリリースポイントを変えるなどして対応。MLB時代の決め球スプリットも、ブルペンで修正に取り組んでいる。

「日本人打者の特長は選球眼がいいこととファウルが打てること。どんな球に対してもコンタクトするのがうまい。フラストレーションがたまることもあるが、根気強くしっかりとゾーンに投げることが大切」とオンドルセク。バーネットやロマンのみならず、年下の秋吉や徳山らにもアドバイスを求め、日本の野球に適応するための術を熱心に磨く。

 開幕から14戦連続3失点以下に抑えるなど絶好調の投手陣で『勝利の方程式』を担う。「レッズにいたときのブルペンと同じ雰囲気の良さを感じるんだ。切磋琢磨できて、みんな自信に満ちている」。“日本仕様”に今なお進化中の長身右腕は、日々その存在感を増している。
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