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脇谷亮太内野手・声で引っ張るベテラン

 



「ベンチの雰囲気? 全然ダメ。最悪ですよ。だって、後輩が僕に文句を言ってきたり、僕が後輩を怒ったりしていますから」とイタズラっぽく笑う脇谷亮太を見れば、「最悪」の表現の裏に逆の意味が隠されていることは、すぐに伝わってくる。つまり、『良い』のだ。

 チームは41試合を消化時点で23勝16敗2分けの首位という好成績だけに、チームの雰囲気は自ずと明るい。その中でも、「特に脇谷さんら、年齢が上の方が率先してもり立ててくれる。本当は、僕たち若手がやらなければいけないのにありがたいです」と自身も元気印が自慢の捕手・岡田も先輩ムードメーカーに感謝しきりだ。

 今季は守備固めとして試合終盤での出場が主となっているだけに、

「ベンチから声でチームを鼓舞することが役割」との思いは強い。だが、さらに重要な効果が“声出し”にはあるのだと、脇谷は語る。

「ベンチで声を出すといっても、集中して試合を見ていないと場を盛り上げる声は出せない。みんなが一つのボールに対して気持ちを入れるという意味でも、本当に大事」。さらに「賛否両論あるとは思いますが、僕は試合中に白い歯がこぼれても、やっぱり見ている人が『楽しそうだな』と思うのがいい。相手にも『西武ベンチはうるさいぞ』と思わせた方が勝ち。今後大事になるのは、その雰囲気を勝っていようが負けていようが、常に同じように続けることです」。

 声で引っ張る一方で「控えはゲームの流れを読んで、状況がくればすぐ準備するぐらいの考える力と行動力がないと務まらない。そういうことを少しずつ伝えていきたい」。“ムード作りと経験伝授”。目には見えない大事な要素でも、脇谷の存在価値は絶大だ。
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