昨年4月下旬だった。中畑監督は、一軍初昇格したばかりの
飛雄馬を見つめて褒めた。
「ベンチでひたすらに声を出している。それがあいつの一番いいところだな」。当時はたった4日で二軍へ逆戻り。シーズン終盤に再昇格したが、4試合で8打数無安打に終わった。今年がプロ4年目。「勝負の年だと思っている。とにかくアピールするしかない」と決意表明したように、しっかりと地力をつけ、チーム内でも代えの利かない存在になってきた。
一番の魅力はもちろん、指揮官お墨付きの明るいキャラクターだ。優勢でも劣勢でもフルテンション、とにかくベンチで声を枯らしまくっている。「ベンチのムードって大事ですから。特別なことをしているという意識はないんですけどね……」。大阪府出身。江の川高から社会人・三菱重工
広島と「染みついているというか、これしか知らないので」と最前列に陣取ってきた。これまで声をつぶした経験もなく、「たぶん、強いんやと思います!」。喉を指さして笑う。中畑監督も「ウチのマスコットだ」と独特の言い回しで成長を認めるほどだ。
自主トレ仲間で1歳下の主将・筒香は仲が良く、
バルディリスとは通訳なしで食事する間柄。24歳の若者は目をギラつかせて断言した。「ホンマにレギュラーを取らなアカンと思っています」。2月の宜野湾キャンプ序盤、同じ遊撃のポジションを争う白崎の故障によって一軍昇格。それ以降、1度もファームへ落ちていない。3月29日の
巨人戦(東京ドーム)ではルーキー・高木勇からプロ初安打初打点。相手が左投手の試合では、着実にスタメン出場の機会を増やしている。