苦しんだ先に新しい世界が見えた。入団2年目のセットアッパー・
又吉克樹だ。登板数は常にリーグトップを争うフル回転ぶり。今年3月には小久保ジャパン入りも果たしたが、春先に二軍落ちも経験した。そんな右腕の転機はどこなのか。
「交流戦の
日本ハム戦ですね。ホームランを打たれた日です。そこから変わってきたと思います」
思い出すのは5月30日(札幌ドーム)。5番手で登板して、
中田翔に18号ソロを打たれた。この日のコメントは「誰がどう見ても、やっちゃいけないことをやられました」。二軍で悩み苦しみ、はい上がってきた。そして、陽の当たる場所で敵の主砲に食らった一撃。相当、こたえた。だが、そこで沈まないのが竜のセットアッパーだ。
「1年目と2年目は何が違っていたのか。昨季は、どうやって抑えていたのか。キャッチャーとも話し合って攻め方を変えました。ストライクゾーンを広く使って、外のスライダーを振らせるようにしました」
手痛い一発をやられっ放しにしない。切り替えるための糧にした。翌31日の同カードは1イニングを投げ、1点を失ったものの2三振を奪った。
ペナントレースも折り返しを迎えた。このまま、抑え続けられるかは誰にも分からない。どんなカベが待っているのかは分からない。
「しっかり腕を振って、ストライクゾーンを広く使って投げたい」と語る。
目標は高い。V奪回に貢献したいし、今秋の侍ジャパン入りも狙う。竜のセットアッパーの地位を確立して、残りのペナントレースも走り続ける。