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狩野恵輔外野手・常に危機感を持ち続け

 



 チームきっての苦労人といえるだろう。狩野恵輔が貴重な「右の代打」として少ないチャンスに生き残りをかけている。「何が起こるか分からないと思っています。試合中にしっかり準備しながら出番がくるのを待ちたい」

 右ワキ腹痛で戦線離脱している関本がオールスター前後に復帰する可能性が高くなった。これまで関本の代わりとして代打の切り札的存在だった狩野は、さらにここから存在感をアピールする必要が出てきた。

 今シーズン、最も輝いたのは6月21日のヤクルト戦(甲子園)だ。同点の6回裏一死満塁に代打で登場。ライト・雄平の頭上を越える2点二塁打でヒーローになった。中継ぎの秋吉に対峙した狩野は「引っ張ったら、ボールをバットに引っ掛けてしまう。センターへの意識でバットをかぶせよう」という読みが的中した形となった。

 前橋工から阪神入りした高卒15年目。正捕手扱いされた年もあったが、10年に打力を生かすために外野転向。しかし、たび重なる故障によって、野球人生は暗転していく。椎間板ヘルニアを発症して手術を受けた。育成選手契約からはい上がったのは、13年支配下選手登録されてからだった。入団したての背番号は「63」で、育成の「120」から今は「99」で勝負をかける。いかなる場面でも必死に食い下がっていく狩野の姿に和田監督も「これで飯を食っていくという姿勢がある。技術うんぬんでなく、気持ちが前に出ている」と思い切った起用ができる。

 厳しい局面にあっても、狩野は「常に危機感はもっている。集中してプレーしていきたい」と結果をもたらしながら、チームを全力で下支えしていく。
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