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加藤正志投手・新進気鋭のサブマリン

 



 1試合、1試合が貴重な経験の場だ。ドラフト6位で入団した加藤正志。6月30日のロッテ戦(QVCマリン)で待ちに待った一軍初登板を果たすと、ここまで8試合に登板(7月29日現在)。ビハインド時での登板が多いが、貴重な中継ぎとして、役割を果たしている。

 初登板時には強打者のデスパイネと対戦。123キロの直球でストライクを取り、87キロのカーブで遊ゴロに仕留めた。球速が出ない分は、タイミングをずらして勝負する。楽天では唯一の下手投げ。クルーズ、青山浩二ら速球派の多い中継ぎ陣の中で、存在感を放っている。大久保監督は「度胸がある。経験を積んでいけば面白い存在になる」と目を細める。

 キャンプは一軍スタート。ドラフト1位の安樂智大の陰に隠れた形となったが、「ボールの力に課題はあるが、制球がいい」と首脳陣の評価は高かった。開幕一軍を逃し、4月下旬に昇格する予定だったが腰を痛め見送りに。その後も黙々と調整し、チャンスを待った結果、夏を前に待望の一軍切符を手にした。

 7月30日までの8試合の登板で与四球はわずかに1。制球の良さは前評判どおりで、自滅して崩れることはない。課題は対左打者。対右打者の被打率が.296に対し、対左打者は.333。指揮官も「左を抑えられるようになれば、もっといい所で投げさせられる」と期待する。今季に掲げている目標は30試合登板。このまま一軍に定着することができれば不可能な数字ではない。「球の速さではほかの投手にかなわない分、自分の良さを出していきたい」。今年の新人の中では派手な方ではないが、社会人出身の落ち着きがある。
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