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寺原隼人投手・円熟味を増した右腕

 



 先発で好投してはチーム事情で中継ぎに配置転換されること3回。だが、8月2日の西武戦(西武プリンス)では7回3失点と好投し、高卒2年目だったダイエー時代の03年に並ぶ開幕6連勝をマークした。今季、ソフトバンクの独走を支える一人は、プロ14年目のベテラン右腕・寺原隼人である。

「(球速は)ここの球場だからですよ。いまはもう、そんなに出てませんから(笑)」。7月15日の日本ハム戦(帯広)だった。同点で迎えた6回から救援した寺原は8回一死まで打者7人を完璧に抑え込んだ。直球の最速は154キロを計測。そう、あの夏と同じだ。

 01年夏の甲子園はベスト8で敗退したが、最速155キロという前評判で聖地に現れた日南学園の剛腕は最も注目された。玉野光南との2回戦では、テレビ中継のスピードガンで154キロと表示され、ブレーブスのスカウトがネット裏から測った数字は98マイル。1マイル=約1.609キロで換算すれば約157.68キロとなる。当時のプロ野球記録はロッテ・伊良部が記録した158キロ。すさまじい衝撃とともにその名を全国に知らしめた。

 かつては怪物と呼ばれ、自慢の直球で押しまくったスタイルは影を潜める。昨年5月に古傷の右ヒザを手術し、定期的な通院とケアは欠かせない。肉体の変化とともに変化できる選手が一流と言われる。

「体重移動に気をつければいい球がいく」。どれだけキレのあるボールを投げられるか。あの力んでいた夏の姿はもはやどこにもない。今年の10月には32歳を迎える。もはや、円熟期だ。あの夏と変わっていないのはそのゆっくりした語り口調と、いつまでも抜けない宮崎弁だけだ。
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