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川井貴志投手・チームを救う「困ったときのボブ」

 



 38歳のベテラン左腕“ボブ”こと川井貴志が渋い働きを見せている。今季初先発となった8月9日の日本ハム戦では「ゴロを打たせてアウトを取れたところは良かった」と6回2失点。同月16日の日本ハム戦では7回2失点。勝ち星はまだないが、安定感のある投球でベテランの存在感を見せている。

 二軍で12試合に登板し3勝4敗で防御率は2.99。黙々と投げ続ける左腕にチャンスは唐突にめぐってきた。後半戦に入り、ローテ投手の塩見、美馬が二軍へ。その“代役”として白羽の矢が立った。6日から一軍に合流した際に口にした「二軍で6、7回まで投げられる体力がついた」という言葉を体現した。

 毎年夏場に投手陣が苦しむ際に昇格し快投。そのため「困ったときのボブ」と呼ばれる。本来なら「困る前のボブ」となるのがベストだが、春先から一軍での先発機会に恵まれなかった。それでも決して腐らずに練習し、安定したピッチングを維持し続ける。その姿勢が、首脳陣からの信頼を集める大きな理由だ。

 二軍監督時代から川井と接してきた大久保監督は「ボブは一軍にいても二軍にいても同じ練習をする。結果も同じで、一軍でも二軍でも6回3失点。ある意味、安心して見ていられるよね」と評する。初先発後には「オレの中では100点、いや1000点あげられるピッチングだった」と称賛した。

 逆転CSの可能性はまだ残っているものの、チームは借金を重ね、5位に低迷している。そんな今こそ「困ったときのボブ」が真価を発揮する時だ。どんなときでも、ひょうひょうと投げ続けるその姿が、頼もしく映る。
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