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山井大介投手・2冠王の苦闘

 



 とても満足できる成績ではないが、すべてを否定されるほどの成績でもない。プロ14年目で初めて開幕投手を任された山井大介にとっては苦しみ続けた1年だった。

 9月23日時点での成績は32試合で4勝11敗、5ホールド、2セーブの防御率3.65。勝ちが少なく負けは多いが、イニング数は年間規定投球回まであとわずかの138と1年間を通して働き続けた。8月に入ってからはリリーフに転向すると、抑えを任された試合もある。だが、期待されていたのは先発ローテーションの軸。裏切ったのは事実だった。

「今年は最初から最後まで1年間、同じピッチングを繰り返してしまいました」

 象徴的だったのが9月21日の巨人戦(ナゴヤドーム)。1点ビハインドの5回、先頭の小林に四球を許すと、一死一、三塁から試合を決定付ける3ランを片岡に浴びた。谷繁監督兼選手いわく「今年の山井は突如、四球を出してしまう」。好投していても四球から崩れるのが今年のパターン。リリーフ転向から本来の姿に戻りつつあったが、先発では結果を残すことはできていない。

 開幕戦でのつまずきも大きかったのだろう。3月27日の開幕・阪神戦(京セラドーム)では7回を3安打1失点。3点のリードで後続に託したが、2番手の又吉が8回に追いつかれ、最後はサヨナラ負け。目前だった開幕戦勝利を逃すと、2戦目以降は好投しても勝てない日々の繰り返しだった。「何とか修正したい」と山井。昨年は最多勝と最高勝率の2冠を獲得すると、取得した国内FA権を行使せずに3年契約を結んだ。長期契約を結んでいるからこそ、このままでは終われない。
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