週刊ベースボールONLINE

オーロラビジョン

長谷川勇也外野手・悔しさを発散するバットマンの意地

 



 最高の舞台に間に合った。リーグ優勝を決めた9月17日の西武戦(ヤフオクドーム)。松田のソロで2点にリードを広げた4回に、長谷川勇也が高橋光の低めの直球を完ぺきにとらえ、バックスクリーン右に運んだ。3月2 9日のロッテ戦(同)以来、172日ぶりの2号ソロ。昨オフに手術を受けた右足首の回復が遅れた影響で4月中旬から約5カ月の二軍再調整を余儀なくされ、この2日前の15日に一軍に再昇格したばかりだった。「5カ月間はしんどかった。まだ発散し切れていない。この先もしっかり打っていきたい」。何とか間に合った歓喜の瞬間にも、苦しみ続けた寡黙なヒットマンは冷静に先を見据えた。

 苦しい1年だった。13年には198安打で最多安打のタイトルを獲得。だが昨季、後半に右足首を負傷した。チームはシーズン最終戦まで優勝を争ったこともあり、その後、日本シリーズまで強行出場。その代償が今季まで響いた。昨オフに手術を行い、春季キャンプも二軍スタート。開幕スタメンには何とか名を連ねたが、右足首をかばいながらのプレーも影響し、出場14試合で打率.190とらしくない打撃が続いた。

 今季から指揮を執る工藤監督は、就任直後から「故障が一番戦力ダウンにつながる」とリーグ連覇に向けて「故障防止」を最重要視してきた。開幕直後の長谷川のプレーを見た上で、完治を優先させるため4月中旬に二軍降格が決定。昨季後半に強行出場を続けたことで復帰が遅れた背景もあっただけに、長い二軍生活が続いた。それでも優勝決定の際にはしっかりと、一軍の舞台に戻ってきたヒットマン。苦しんだ分、連続日本一へ向けて短期決戦でも大暴れする。
オーロラビジョン

オーロラビジョン

週刊ベースボール各球団担当による、選手にまつわる読み物。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング