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斎藤佑樹投手・苦闘の末につかんだ再出発の1勝

 



 かつての甲子園の大スターが、新たなスタイルを築き上げようとしている。9月16日ロッテ戦(QVCマリン)で今季初勝利。「2ケタ勝利をしているピッチャーがたくさんいる中で、この時期の1勝。はたから見たら、たかが1勝かもしれないけど、僕にとってはすごい価値がある」。苦難だった5年目の最終盤で得た手応えと結果。紆余曲折を経てたどり着いた352日ぶりの白星だった。

 今季は開幕先発ローテーション入りも2試合連続でKO。4月中旬に二軍降格し、再調整中の5月から中継ぎへ配置転換された。短いイニングで目の前の打者を全力で抑えにいくことは、2006年夏の甲子園を制覇したときのがむしゃらさを取り戻すきっかけとなった。栗山監督ら首脳陣が思い描いた、再生方法の一つ。慣れないブルペン待機を経験しながら、スターターとしての復活の下地をつくった。

 7月27日、イースタン・リーグのロッテ戦(浦和)で先発に復帰。直球とフォークを軸とするスタイルに変貌した。これまで決め球として使ってきたフォークを、カウントを取る際にも多投。「目の前の打者を一人ひとり抑えないと。中継ぎも先発も、そこは変わらない」。意識も変え、投球内容で体現。8月は3度一軍で先発して、一度も勝てなかったが、すべて5回以上を投げる安定感を見せた。

 今季の成績は1勝3敗、防御率5.74だが、調子は右肩上がりで公式戦を終えた。CSでは一軍に名を連ねたが、登板はなく敗退。その後は宮崎でフェニックス・リーグに参加している。2年目の12年日本シリーズで右肩関節唇を損傷。以来、苦しんできたプロ野球人生の中で、大きな転換点となるか。完全復活への道を本格的に歩み始めた。
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