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澤村拓一投手・クローザー転向でよりたくましく

 



 10年のドラフトで1位指名され、1年目から先発として地位を確立していた。ただ、今季からはストッパーを任され、新たな持ち場で輝きを増した姿を見せている。澤村拓一は「個人的なことよりも、チームのことが第一優先」と力強く腕を振る。

 11、10勝と新人から2年連続で2ケタ勝利を挙げるも、その後の2年は5勝止まり。抜群の球威を生かし切れていなかった。その能力を最大限に引き出すため、昨秋の練習中に原監督から抑え転向を伝えられた。「やりがいのあるポジションだと思う。言われたポジションでしっかりと結果を出す。胸躍るというかね」と気持ちが高ぶった。キャンプ中は少ない球数ながら、連日ブルペンに足を運び、連投に耐えられる肩、体をつくり上げていった。

 シーズンに入ると、まさに“天職”のように、真っすぐ、キレ味鋭いフォークボールで打者を牛耳っていく。60試合に登板し、7勝3敗36セーブ、防御率1.32。ストッパー1年目とは思えないほど安定した投球で、ブルペン陣の中心となった。そして、元先発投手とあって、勝負どころではそのタフネスぶりを見せつけた。9月9、10日の阪神戦(甲子園)では、2試合連続で2回を投げた。走者を許しても、粘りの投球を披露し「どんなに見苦しくてもチームが勝てばいい」と頼もしかった。

 10月10日の阪神とのクライマックスシリーズファーストステージ第1戦(東京ドーム)でも、2回無失点で巨人のサヨナラ勝ちを呼び込んだ。「行け、と言われたところで行く。それが仕事なので。チームとして戦っている」。たくましさを増した右腕は常に堂々としている。
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