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石山泰稚投手・呪縛から解放されて

 



『ドラフト1位』の呪縛に長らくとらわれていた――。石山泰稚は、率直に明かした。

「1、2年目はずっと意識していました。僕は社会人出身で“即戦力”と言われていましたし。どうしても負けられないという思いやプライドがあった。苦しい気持ちもありました」

 その相手は、同期入団でドラフト2位だった小川だ。当時の小川淳司監督の構想は当初、即戦力の石山を先発、小川を中継ぎに配することだった。しかし春季キャンプで頭角を現した小川はオープン戦でも結果を残し、新人ながら開幕先発ローテーション入りをゲット。一方で石山は中継ぎに回った。

 結果的に小川は最下位に低迷するチームで1年目ながら先発ローテを守り抜き、16勝4敗でリーグ最多勝と新人王を獲得。石山も中継ぎで60試合に登板し抑えの経験も積んだが、小川の活躍の前にはかすみがちだった。

 プロ2年目の途中から先発に挑戦。今季はキャンプから先発として調整し、開幕先発ローテーション入りを果たした。6月には不調による二軍落ちも経験したが、5月にチームの連敗を9で止める快投を見せるなど「連敗ストッパー」として要所で光る存在感を見せ、チームの14年ぶりの優勝に大きく貢献した。何より、シュートなど有効な変化球のバリエーションが増え精度も向上。スタミナや勝負勘など先発としての資質が上がったことは大きな収穫だった。「今はもう変な意識はない。ライアン(小川)はいつも刺激になる存在。一軍で一緒にいい成績を残し続けたいと思っています」と石山。同期入団の「二大看板」として、次代の投手陣をけん引する自覚は十分だ。
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