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武隈祥太投手・場面を厭わず投げ続けたチーム“貯金王”

 



 中継ぎ左腕不足というチーム事情で、「勝ちゲーム、ビハインド、点差が開いたところも含めて、『ここ』という勝負所で行ってもらった。1年間一軍で投げ続けてくれたし、今年もよくやってくれた」と最も負担のかかるポジションを全うした武隈祥太を昨季に続き、田邊監督は「陰のMVP」と評した。

 登板試合数67は、チームメートの増田に次ぎリーグ2位。その増田は、「僕は(クローザーや抑えなので)行くタイミングが決まっていたから、ただ試合数が多かっただけ。でも、タケは試合に出なくても準備していたから。実際、肩を作ってた回数はタケの方が多かったはず。精神面も合わせて、そっち方がしんどかったと思います」と労いの言葉を口にする。

「必死でやっていたら、1年間が終わった」と、まさにがむしゃらに投げ続けたシーズンだった。また、周囲が着目するのは中継ぎに専念して6勝1敗という数字。貯金5は堂々のチームトップ。「先発の勝ちを消して、その後で逆転してもらってついた勝利がなかったから良かった」と本人も素直に喜んだ。

 一方、反省の弁が並んだのが投球内容についてだった。防御率2.83は昨季の3.70よりもはるかに良化したが、「(他投手の出した走者をかえす)見えない失点が多いという方が記憶にある」と笑顔はなかった。被打率も右打者は打率.178と抑えたが、肝心の左打者に.311と打たれては、納得できるはずもなく、今後の課題とした。

 それでも一軍に完全定着したことで「オンとオフがやっと切り替えられるようになったのは、去年と変わった」と精神面で大きな収穫を得たことも確かだと語る。自他ともに主力と位置付けられる来季、さらなる飛躍に期待したい。
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