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ロマン投手・熱く優しき助っ人

 



 14年ぶりのリーグ優勝を支えた投手陣で、高津投手コーチが「陰のMVP」と評するのは、来日4年目のオーランド・ロマンだ。「厳しい場面を任せてしまうことが多かったが、いつも向かっていく気持ちを忘れず投げてくれた。常に前向きで、日本の野球をこれほど理解している外国人はいないと思う」。チーム最年長右腕の献身を、最敬礼で称える。

 今シーズンは自己最多の61試合に登板した。主に7回、8回の厳しい場面を任され、オンドルセク、バーネットと続く『勝利の方程式』を形成した。一方で手薄な先発ローテーションの谷間の役割も担った。

「試合に出てチームに貢献できるならどんな役割でもこれほどうれしいことはない」というのがモットー。マイナー暮らしや台湾リーグでもまれた経験から、常にハングリーでどんな起用にも熱く応える男だ。夏場から首位争いが激化し、連投が続いた際、休養を与えようとした高津コーチに「どうして休みなんだ? 今日も投げるよ」と直訴したこともあった。

 誰もが認めるナイスガイで、助っ人ながら精神的にも投手陣の大黒柱となった。特に1年目のオンドルセクに対しては、来日当初の戸惑いを受け止め、相談役も買って出た。同様にリーダーシップを発揮する6年目のバーネットとともに、3人が明るく助け合える関係を築いたことが、『勝利の方程式』が機能した一因だった。

 CS突破の際にはチームメートから胴上げされ、「ずっと夢だった。本当に最高の1年になった」と大感激したベテラン右腕。10月末時点で去就は未定だが「ファミリー」と表現するヤクルトで野球に懸ける思いが結実した。
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