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佐藤峻一投手・どん底から這い上がる

 



 2ケタの背番号のユニフォームを再び着るため、猛アピールを続ける男がいる。秋季キャンプに参加している背番号123の育成選手・佐藤峻一だ。「それほど数字は残せなかったが、今年はケガもなく試合に投げられることができた。行けと言われればどんなポジションでも投げる」。休む間もなく連日のようにブルペン入りする右腕に、首脳陣たちの評価も日に日に増している。

 2012年に道都大からドラフト2位でオリックスに入団。140キロ後半の直球とスプリットを武器に即戦力と期待をされたが、右ヒジの故障もあり、一軍登板がないまま2014年オフに育成契約に。不安なく投げられるようになった今季はウエスタン・リーグで22試合に登板して5勝5敗、防御率4. 46。一軍投手陣にケガが相次いだ終盤には、支配下登録も検討されるほどに成長した。

 福良新監督も秘密兵器と期待している。みやざきフェニックス・リーグでも好投を見せた右腕に「コントロールも良くなっているし、球に力がある。先発としてやっていける」と来季の先発ローテ入りに向けて丸印をつけた。秋季キャンプから指導にあたる新任の酒井一軍投手コーチも佐藤峻の潜在能力を高く評価し、「実戦で結果を残せば面白い存在になる。ローテに入ってくる力はある」と太鼓判を押している。

 エース・金子、西、東明、ディクソンの4人はケガがない限り先発ローテは濃厚。残り2枠を懸け、来春の宮崎キャンプでは松葉、山崎福、吉田一らと先発ローテを争うことになる。「まずは支配下になること。早く一軍の力になりたい」。どん底を経験した育成右腕は、実りの秋を迎えようとしている。
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