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楽天 古川侑利投手・挫折を乗り越えた先に

 



「アイツはエエぞー」。倉敷での秋季キャンプを視察した星野球団副会長がつぶやいた。視線の先には来季3年目を迎える右腕・古川侑利の姿があった。ブルペンでグイグイ速球を投げ込む姿に、来季の飛躍を予感せずにはいられなかった。

 今キャンプのメンバーでは唯一、今季の一軍登板がなかった。それでも、10月のフェニックス・リーグではチーム最多の4試合に先発。自身は1勝0敗だったが、登板試合でチームは3勝1分。防御率2.78と安定した成績を残した。

「いつか10勝できる投手になりたい。そのために今できることを、しっかりと頑張りたい」。日に焼けたマスクが引き締まった。

 1年目の14年9月14日の西武戦でデビュー。だが、四球をきっかけに無死満塁のピンチを招き、秋山に押し出し四球を与えた。当時監督だった星野副会長から「まだまだだな。四球では使えん」と酷評された。それから2年。“恩師”の前で、成長した姿を見せた。

 同期の松井裕がクローザーとして脚光を浴びた今季。キャンプからつまずいた。2月上旬に右ヒジを痛めて離脱。夏前にも右肩を故障した。一軍登板はなく、二軍でも10試合登板にとどまり、防御率7.40。投げられないつらさも味わった。それでも、これまで148キロが最速だった球速は153キロをマーク。「150キロはひとつの目標だった」。挫折の一方で、手応えも感じ取っていた。

 来シーズンはまずはプロ1勝が最初の目標となる。チームは監督が交代し、自身も心機一転の1年となる。「先発ローテーションに入りたい」。古川にとって秋季キャンプはアピールへの第一歩。少しずつ、階段を上がる。
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