来年こそは才能が開花するかもしれない。そんな期待もあったのだろう。11月15日に行われた今季最後の対外試合、社会人・ジェイプロジェクトとの練習試合(ナゴヤ球場)に先発したのは7年目の
伊藤準規。4回1/3を1安打無失点に抑えて来季への希望を見せた。
「投げ方はだいぶできてきたと思う。早く感覚をつかんで、春のキャンプまでにはしっかりと自分のモノにしたい」。三塁を踏ませない好投に自然と笑みがこぼれた。今年の秋季キャンプは計7試合の練習試合を組んだが、雨天の影響で開催できたのは5試合。その中の2試合で先発したのが伊藤だった。前回11月3日(BCリーグ選抜戦)は3回1失点とふがいない結果。それでも登板機会を用意してくれた首脳陣に応える好投だった。
甘いマスクで地元出身。しかも2012年のCSファイナルステージでは
巨人を相手に勝ち投手になるなど、誰もが素質を認めている。だが、伸び切れないままここまできた。プロ7年間の通算成績は26試合で4勝7敗。「ずっと結果が出ていない。同じことを続けても変わらないので、新しいことに取り組もうと思った」。今秋から投球フォームの改造を決断した。
10月のみやざきフェ
ニックス・リーグから取り組んでいるのは、これまでよりも左足を高く上げる新フォーム。制球力のアップが目的だ。「やろうとしていることはできていた。次(の段階)に行ってくれれば」と谷繁監督。今年はわずか2試合の登板に終わったこともあって、推定年俸は減額制限いっぱいの25パーセント減となる675万円。
「来年ダメならもうダメだ、と気持ちを入れてやる」。崖っぷちの右腕の変身が秋の収穫の一つだった。