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西武 炭谷銀仁朗捕手・10年目も叶わなかった「夢まであと少し」

 



 今季の開幕を前に10年目の炭谷銀仁朗と、脅威の打撃力を誇る2年目の森友哉とのポジション争いが大きな注目を集めていた。ここ数年、常に正捕手に君臨し続けてきた炭谷にとって久々の大物ライバル出現。自身にとっても節目の年だっただけに、その覚悟は並大抵ではなかったことは言うまでもない。ところが、19歳捕手が最大の売りである打撃の状態をキャンプ、オープン戦で上げることができなかったことで、定位置争いは開幕前にあっさり決着がついた。“競争”を煽り、切磋琢磨を望んだ田邊監督も、シーズンを通して「守備の安定感を考えたら、銀ちゃんが抜き出ている」と、全幅の信頼を寄せる結果となった。

 ただ、成績については納得できてはいない。特に打撃に関しては、指揮官から「打率.250でいい」と言われながらも.211。来季も決して“安泰”とは言い難い。また、守備面でも昨季は.444を誇った盗塁阻止率が.361と大きく下がった。常に「こだわっている」と語る自身最大の武器なだけに、こちらも課題が残った。

 それでも9月の活躍はインパクトが強かった。8月を終えた時点で打率.186、0本塁打、17打点。だが、月が替わった途端打撃が向上し、9月の20試合で.349、4本塁打、18打点と大爆発。「これが続くわけがない」と、本人は一笑に付すが、“良い感覚は”つかんだはず。今後へつなげたいところだ。「夢まであと少し」。今季、炭谷が自身の1打席目で毎回使用した登場曲の一節だ。昨季取得した国内FA権を行使しない理由、「このチームで優勝したい」の強い思いを常に発信し続けた。夢の続きは、選手会長にも就任する来季こそ、一層のけん引力で叶えてみせる。
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