同じルーキーの山崎康が強烈過ぎただけに、不本意な気持ちでいっぱいだろう。
「このままでは通用しないということがよく分かりました。特に打撃ですね。目的を持って、このオフを過ごしていくつもりです」
長く不在だった
DeNAの正遊撃手。その1番手に期待された
倉本寿彦は、複雑な表情でプロ1年目を振り返った。
社会人No.1内野手として、日本新薬からドラフト3位で入団した。背番号はかつてベイスターズを支え、あこがれでもある
石井琢朗(現
広島一軍打撃コーチ)と同じ「5」。入団会見でマイクを握ると「小さい時から石井琢朗さんを見ていた。ショートでレギュラーを取ることは、指名されたときに決意しました」と声を張った。3月27日の
巨人戦(東京ドーム)は「七番・遊撃」で先発出場。球団の新人遊撃手としては44年ぶりの開幕スタメンを勝ち取った。
開幕3戦目でプロ初の3安打。波に乗るはずが、極度の不振に陥ってしまった。4月終了時点で打率.193、0本塁打、3打点。5月を消化しても、打率.176と上向かなかった。こだわりは一本足打法。中畑監督から助言され、すり足も取り入れた。試行錯誤のうちに時間は経過し102試合で打率.208、2本塁打、20打点。守備は安定感があり、余計に悔しさが募った。
「課題ははっきりしている。打てないことには話にならないと思うので……」。鹿児島・奄美大島で行われた秋季キャンプでは、オープンスタンスに取り組んだ。「強く振ることだ。傾向として、流し打ちをしてもいい方向にはいかない」と背中を押してくれたのは
ラミレス新監督。2016年への戦いは、すでに始まっている。