抑えを任されながらシーズン終盤には二軍落ちしたまま復帰できなかった
福谷浩司。つかみかけたチャンスを手放した。岩瀬は現役続行を決断し、球団はセットアッパー候補のハイメを獲得した。背番号24の目標はクローザーの地位確立、それ以外にない。
ナゴヤ球場での秋季練習ではプロ野球選手が野球ボールを取り上げられた。手にしたのはソフトボール。リリースの感覚を養うためだった。
そこから11月下旬までの約1カ月半。11月の岐阜キャンプ(長良川球場)まで、復活計画は進んだ。ソフトボールでブルペン入りしてもボールが抜ける。安定してきて、やっと硬式ボールを握るのに2週間かかった。硬式ボールでブルペン入りしても、いきなりはうまくいかない。それでも投げ続けた。契約更改では500万円減の4000万円(推定)も黙ってサインした
秋季キャンプでは、ワインドアップに挑戦。慶大時代以来となるスタイルで、再起を模索した。
「大学まではずっとワインドアップ。セットはできるので取り組んでみようと。その中でいい形が見えてくればいいと思います」
オフだって、時間さえあればナゴヤ球場で体を動かす。真面目だから、野球しか考えない。そんな右腕だからこそ、ワインドアップで投げてみた。
クローザーを任されながら42試合で防御率4.05。谷繁監督は上半身と下半身のバランスを口酸っぱく言った。「力むな」。左足が着地してからのわずかな「間」をつくるように強調。「福谷が投げられれば戦い方が安定します」。友利投手コーチも「来年はやってくれる」と太鼓判を押している。