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DeNA 久保裕也投手・36歳の再スタート

 



 新天地でプレーできる喜びをかみしめ、同時に自覚と責任感をにじませた。「35歳ですけど、新人の気持ち。フレッシュさを出して頑張りたい」。巨人から戦力外通告を受け、移籍先に選んだDeNAでの入団会見。背番号00のユニフォームに袖を通すと、久保裕也はようやく笑みをこぼした。

 キャリアと実績は申し分ない。2003年に自由獲得枠で巨人入りし、1年目から6勝をマークした。キレのある直球にスライダー、フォークと変化球も多彩。先発、中継ぎ、抑えをこなすマルチロールとして、常勝チームに欠かせない存在となった。05年は64試合に登板。10年には79試合と驚異的なペースで投げまくった。翌11年も67試合で20セーブ、防御率1.17。投手としてピークを迎えながら、フル回転の代償は決して小さくなかった。

 同年オフに右股関節手術を受けると、12年には右ヒジ痛を発症。右ヒジじん帯再建手術(トミー・ジョン手術)を受け、13年のシーズンは棒に振った。14年は48試合に登板しながら、15年の一軍登板はなし。戦力構想からも外れた。

 DeNAの高田GMは「敗戦処理で投げるような投手ではない。いいところで投げてもらう」とセットアッパーとして期待。体調面も問題ないと強調し、抑えの山崎康、三上、エレラと盤石の勝ちパターンを構想している。通算418試合登板。球団の気持ちを受け止めるように「拾っていただいた恩を返したい。ジャイアンツで学んだことを生かしたい」と決意表明した。チームメートでは久保康や長田、後藤と同じ松坂世代。来年5月には36歳になる。横浜で切ることになった再スタート。まだまだ老け込む年ではない。
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