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西武 上本達之捕手・原点回帰をテーマに挑む14年目のシーズン

 



 昨年は2006年以来、9年ぶりに一軍出場が1ケタ(6試合)に終わった上本達之。新シーズンを前に、胸に去来するのは「危機感」だ。「今までは正直、『クビにはならないだろう』という考えが少し頭にはあった。でも、本当に“崖っぷち”。今年は周りのことは気にせず、自分のことだけに集中したいです」。

 捕手としても炭谷、森、岡田ら競う相手は多い。だが、「打って初めて自分の存在意義があるととらえています」と語るとおり、まずは打撃で成績を残すことが自らの至上命題だ。

 これまでも打撃面で常に試行錯誤を重ねてきた。気付けば『野手最年長』。それでも、いまだに練習量はチームトップクラス。だが09、10年をピークに成績を落とし、特にここ3年は打率1割5分前後にとどまっている。日々改善を試みる中で、「最初は良かったときを考えることが多かった。でも、ここ数年はそれを1回捨てて取り組んでいたのですが、やはり一番良かったときの感覚が、結局最も基本に近いんだと思い直して。なので、今はそのときの感覚をもう一度取り戻そうと思ってやっています」という。

 昨年12月末の西武第二球場クローズ前日にも、今年1月4日同オープンの日にも、室内練習場でマシンに向かう35歳捕手の姿があった。この時期にバットを振るのは、キャリア初。「10月27日に全体練習が終わって、心が枯れてしまった。そこが整うまでと思っていたら、丸1カ月一切野球をしなかった。それも初めてなんです」。

 時間はかかったが気持ちの切り替えは完了。すでに「野球がやりたい」モード全開だ。自己最長のメンタル充電期間を経て、原点回帰をテーマに挑む14年目。誰よりも自分が自分に期待している。
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