シーズンオフのある日、
荒波翔は静かにつぶやいた。「イメージっていうのは本当に恐ろしいですね……」2012、13年と2年連続でゴールデン・グラブ賞を受賞した名手。ここ2年はレギュラーから陥落し、63、70試合と出場機会を減らした。いつの間にかついた印象は「故障」
「今年はケガじゃなかったので、違う悔しさがあった」と強い口調で言い切り「若い選手に負けるつもりはないし、負けると思っていない」と再浮上へ決意表明してみせた。
一昨年は確かに苦しかった。2月の宜野湾キャンプで右手薬指を骨折し、開幕一軍を逃した。6月14日の
ソフトバンク戦(ヤフオクドーム)では試合前のシートノック中に右ふくらはぎを負傷。軽い肉離れはクセになり、最後まで不安を抱えたままのプレーを強いられた。
「ケガをしないことは前提。143試合、しっかりと試合に出るための体づくりをしたい」復活への思いは人一倍だったが、昨年も開幕一軍を果たせなかった。
打率.298、4本塁打、14打点。規定打席にも届かず、4盗塁はプロ入り最少の数字に終わった。それでも、交流戦での打率は.383。シーズン通した得点圏打率も.355と意地を見せた。
現役時代から知る
ラミレス監督は「一番から五番は、ある程度決まっている」と断言。上位打線を石川-梶谷-ロペス-筒香-
ロマックと構想しており、関根や乙坂らと「六番・右翼」を争うことになりそうだ。「とにかく試合に出たいですね。盗塁王とゴールデン・グラブ賞。目標は高く持っていたいので」
1月は同僚の林や
楽天・今江らと沖縄で合同自主トレを行った。強く、たくましくなった姿で、看板を取り戻す覚悟だ。