かつての夏の甲子園優勝右腕が復活のときを迎えている。5年ぶりに一軍で春季キャンプを迎えたが、当初は開幕先発ローテの候補にも挙がっていなかった。しかし実戦で安定した結果を残し、オープン戦の先発ローテ入りを勝ち取った。キャンプ中に行われた紅白戦を視察した他球団のスコアラーは、2回を無失点で抑えた右腕を「投げっぷりが良いね。格が違う。金子、
ディクソンに続く3番手も狙えるのでは」と高く評した。開幕一軍はもちろん、開幕先発ローテも狙える位置にきている。
度重なるケガに悩まされ、2014年のオフには戦力外通告を受けて育成契約になった。それでも腐ることなくひたむきに練習を続け、昨年4月に再び支配下に。そして7月12日の
楽天戦(コボスタ宮城)で1141日ぶりの白星をつかんだ。
「僕なんかでも勝てたんだなと。手術して長いリハビリがあって育成になって。いろいろあったな」と喜びをかみしめた。育成時代の経験を忘れないために、今でも当時の背番号「125」が入った道具を持ち歩く。
手応えも十分だ。ここ4年間、毎年右ヒジの手術をしており、オフはそのリハビリに費やしてきた。昨年もその影響で戦線復帰しても、シーズンを最後まで投げ抜く体力がなかったという。しかし、昨年の契約更改の席では「来年は僕自身が僕に期待している」と話していたように、今年はその必要がなく思う存分練習をこなしてきた。
福良監督も「ボールが本当にいい。先発ローテの3番手として考えようかな」と期待を寄せる。近藤一自身も「昨年もそうだけど、今年もチャンスをいただけている。しっかり投げていきたい」と気合十分。チーム最後の近鉄戦士として、再起に懸ける気持ちは強い。