一瞬でベンチが沸き返った。2月28日の
巨人とのオープン戦(東京ドーム)。5点を追う9回一死、
鵜久森淳志が巨人・戸根の直球を左中間スタンド中段に放り込んだ。“移籍後初アーチ”にも「僕は一打席勝負なので、ああいうところで結果を出してアピールするしかない」と冷静だったが、チーム待望の右の長距離砲の出現に、真中監督は「少ないチャンスの中でいい打撃をしてくれた。ウチには少ないタイプだよね」と喜んだ。
済美高3年時、主砲として春のセンバツ初出場初優勝に導くなど“甲子園のスター”としてプロ入りを果たしたが、
日本ハムでは11年間で通算6本塁打。昨オフ、戦力外を通告された。
それでも、トライアウトを経て、今季から
ヤクルトに入団。春季キャンプでは、杉村チーフ打撃コーチと二人三脚でフォーム改造に着手した。ミートポイントを体に近づけ、確実性のアップを目指している。
「反対方向に強い打球を打った結果、それが本塁打になったりっていう感じで今は取り組んでいます。自分がどう変わっていくか楽しみです」
チームの外野陣は、左翼・
バレンティン、右翼・
雄平は確定。中堅争いは、坂口が一歩リードしている。現状、鵜久森は「右の代打」として期待されているが、キャンプから一塁の守備も「どういう形でチャンスが巡ってくるか分からない」と精力的に練習中。正一塁手の畠山がぎっくり腰で出遅れているだけに、チャンスはある。昨季故障がちだったバレンティンの調子が上がらなければ、アピールを続ける鵜久森のバットに頼る可能性もある。
「拾ってもらった恩がある。1年が終わったときに『鵜久森がいて良かった』と思ってもらえるようにしたい」
己のバットでリーグ連覇を引き寄せる。