沖縄キャンプ最終日の2月28日。選手会長・
小窪哲也の声が響いた。内野にできた打ち上げの円陣。一本締めのあいさつで声を張った。
「勇往邁進!25年ぶりの優勝へ向けて、チーム一丸となって頑張っていきましょう」
選手会長に就任。目標に向かって脇目を振らず突っ走る。「勇往邁進」の言葉に、リーダーとしての自覚を込めた。
「小窪でよかった」
キャンプ中、何度もその声が聞こえた。
PL学園高、青山学院大。野球エリート街道を歩んできた男は、そのいずれでもキャプテンを務めた。そして巡ってきたプロでの選手会長。自己は捨てた。
「自分の成績は関係ない。とにかくチームが勝てるように。そのためならなんでもする」
キャンプ前日には副会長の丸、會澤、そして菊池、福井を集めて食事会を行った。勝つために各ポジションのリーダーを集め、意思を確認した。
自身の役割は今季も代打となりそうだ。「レギュラーを諦めたつもりはない」と言うが、代打業は特殊能力でもある。持ち前の勝負強さで試合を決める一打を放つ。オープン戦中には打席を重ねるため一度は二軍で調整したが、すぐに再合流。「必要不可欠な存在」と緒方監督にも言わしめた。
黒田、新井からの信頼も厚い。FA宣言も封印し、なるべくしてなったチームリーダー。背番号4がチームをまとめる。自身は目立たなくても、陰で支える。
「とにかく優勝したい」
勇往邁進。
広島には小窪哲也がいる。